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【連載】地下微生物・第10話【身近な微生物と地下微生物】

2014.06.08
図1 発酵食品に含まれる身近な微生物
図2 地下の珪藻岩に棲んでいる微生物

はじめに


皆さんは、微生物をすぐにイメージできるでしょうか?「微生物? 何それ、おいしいの?」という方も多くいらっしゃると思います。

そこで第10話では、私達ヒトの身近にいる微生物と、私達が研究対象としている地下深部の微生物について簡単にご紹介したいと思います。


身近な微生物


まずは、身近な微生物として、ヒトのために発酵食品を作ってくれている微生物をご紹介いきます(図1)。味噌、ヨーグルト、納豆などは微生物が作っていると言っても過言ではないわけですが、実際にそれらの微生物をご覧になったことがある方は少ないと思います。

図1では、これらの発酵食品をそれぞれ専用の培養液に少量植えて育てた微生物の電顕写真(走査型電子顕微鏡画像)をお示ししました。図はクリックと拡大できます。図の中にスケールバーがありますが、それと比べると微生物は非常に小さな生き物であることがわかります(1μmは1/1000 mm)。

地下深部の微生物


次に、私達が研究の対象としている地下深部の微生物についてご説明していきます。こちらは研究者の数がとても少ない分野ですので、さらに皆さんには馴染みがないと思います。

地下は、太陽光が届かず、栄養もほとんどなく、おまけに大きな隙間も少ないこととから20世紀末まで、生物の棲めない世界であると考えられてきました。しかし、それ以降の研究により地下には非常にたくさんの微生物が棲んでいることがわかってきました。

図2は、私達が幌延地下深部の珪藻岩の地層から生け捕りにしてきた「メタンをつくる微生物」と「酢酸をつくる微生物」の走査型電子顕微鏡画像です。これらの微生物は水素と二酸化炭素から、それぞれメタンと酢酸をつくることが培養実験により明らかになっています。

このように、私達は地下深部の幌延珪藻岩や褐炭の地層からエネルギー資源開発に力を発揮してくれそうな微生物を日々探索しています。