
北海道科学技術総合振興センター
H-RISE 幌延地圏環境研究所
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幌延珪藻岩中の難分解性有機物(フミン酸)の構造を変化させる地下微生物発見 (2013年)
幌延の深部地下環境から採取した地下水より、好気条件でフミン酸の構造を変化させる微生物(Pseudomonas stutzeri HSI−9株)を発見しました。この微生物取得のために用いた地下水中には、Pseudomonas属に分類される微生物の割合はわずかだったのですが、フミン酸を添加した培養液での培養により、Pseudomonas属に分類される微生物が集積されました。これにより、Pseudomonas属に分類される微生物がフミン酸の分解もしくは利用に重要な役割を果たしている可能性が考えられました。また、この微生物とフミン酸を混ぜて培養することにより、以下のような現象が生じることが分かりました。
1) HSI−9株はフミン酸の一部分を分解して利用している。
2) HSI−9株由来の成分もしくは培養液中の成分がフミン酸に取り込まれている。
地下環境から取得したPseudomonas属に分類される細菌が、フミン酸の構造を変化させる報告は今までに無く、本報告が世界初となります。この実験は酸素のある好気的な培養条件で行われたものです。地下環境において何らかの構造物を作る時には、地下環境の酸素による曝露が生じます。その結果、酸素存在下でよく成長する微生物が地下環境中の腐植物質の構造を変化させる可能性が考えられました。
本報告は以下の論文に詳しく記載されております。
Ueno A, Shimizu S, Tamanura S, Naganuma T, Ohmi Y, Kaneko K (2013)
Structural Alteration of Humic Acids by Pseudomonas spp. from Deep Terrestrial Subsurface Diatomite Formations in Northernmost Japan.
Geomicrobiology Journal, in press.
地下環境は酸素が無い嫌気的な環境です。現在は、嫌気条件下で類似の現象を生じさせる微生物が存在するかどうかの探索を行っています。
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